日穏公演「月の海」＠ 下北沢 「劇」小劇場

素晴らしい公演だった。
カーテンコールでも、涙が止まらなかった。

井上揚水の「少年時代」が、いい感じに効いた。

あっこちゃんに会うのは、８年ぶりくらいかな？
もっと言うと１４年前、ワークショップで一緒に稽古していた頃と全然
変わっていなかった。あのまんまだ。
だけど、演劇公演のレベルは格段に上がっていた。
今じゃ、この日穏の主宰者だ。
すごいね。

今作「月の海」は、私好みの、人に優しくなれる、温かみで溢れた
ウェルメイドプレイ（質の高い人情劇）に仕上がっていた。

客席の感情をコントロールしているような余裕さえ感じたほどだ。
これは、相当な稽古、

何より役者のセンスと経験が生み出すものだと思う。

起承転結の「転結」で、ネタが明かされる分かりやすい構成。
前から２列目なのに、身を乗り出して、
舞台に見入る自分がまた面白い。
物語はお客さんが見たい方向へ、着地点が分らないように、
お客さんの心を揺さぶりながら激しく動き出す。
毒のない笑いに、見ている私のスイッチが入る。

親の介護問題を扱いながら、近所の人たちとの交流や
家族愛、友情、純愛を丁寧に描いたハートウォーミングストーリー.
終演後に惜しみない拍手を送った。

「１日１日を大事に、一生懸命生きなきゃな！」、なんて思ったよ。
舞台上と客席が一体となって創り上げた感動の空間、下北沢の「劇」小劇場が、
優しさと涙で溢れた。
こんな演劇にまた出会いたいと切に願う。
小劇場の素晴らしさを誰でもいいから、無性に伝えたくなった。

　

コメント 2

「月の海」を演出した、たんじだいごと申します。あっこが日穏のｆａｃｅｂｏｏｋに載せていたので読ませていただきました。劇評ありがとうございます。嬉しいです、また今後の励みにもなります。今後もご期待にお答えできる作品を作っていくよう精進していきます！
観ていただいて、ありがとうございました。
by たんじ　だいご (2016-09-11 18:16) 

たんじ　だいご 様

コメント、ありがとうございます。
脚本力も素晴らしく、それに味を付ける演出力は見事なもので、
お客さんが退屈しない「間」や「見せ場」を意識し、１つ１つを
丁寧に、大切に創り上げたことが分かりました。
小劇場で、しかも友人の出ている芝居で号泣するなんて、
悔しいながら嬉しくて。
稽古場の熱気まで伝わる素晴らしい作品でした。
by ＨＷＫ (2016-10-18 23:02)